スピッツの好きなフレーズを味わう回。
スピッツの「スパイダー」の「洗い立てのブラウスが今筋書き通りに汚されていく」というフレーズが大好きだ。
可愛い君が好きなもの
ちょっと老いぼれてるピアノ
さびしい僕は地下室の
すみっこでうずくまるスパイダー洗いたてのブラウスが
今筋書き通りに汚されていくだからもっと遠くまで君を奪って逃げる
ラララ 千の夜を飛び越えて走り続ける
いつも陰でこそこそしているスパイダーが、君を奪って逃げる。千の夜を飛び越えて走り続ける。清らかな君が、あたかも運命通り無情に汚されてしまうから。
典型的なルサンチマンというか、鬱結した弱者が一人称であるところ、まずいい。
象徴としての無垢を表現する言葉として、君が大切に育てられてきた家庭できれいに洗ってもらったであろうまっさらなブラウス、を選ぶところがいい。
そんな大切な大切なブラウスが、あまり害がなさそうで、むしろ、君がいかにも興味を持ちそうなちょっと老いぼれているピアノに、今当然のように汚されてしまう儚さ、最悪な嫌悪感がいい。
そんな清らかな君を、弱っちいスパイダーが、無理して奪って逃げるのがいい。
千の夜を飛び越えるなんて、身の丈に合わないことをするところがいい。
最後に、「力尽きたときはそのときで笑いとばしてよ」と歌うのだけれど、自身で自分のざこさを認識しながら、それを受け入れてくれるよう軽やかに居直っているところもいい。
PVは、草野マサムネが拡声器を持っているところがいい。
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